引きこもりの生徒はもちろん塾には存在しません。おそらく学校に行けなくて学校の授業内容の補修勉強を依頼する先は塾より家庭教師になるでしょうし、まだ家庭教師から教わるくらいの子はなんとでも救ってあげられる気がします。主に子供の引きこもりを直に体験するのは父母と学校になります。「ひきこもり」の状況にいる子供がいたら、そこから抜け出させてあげたいし、それが何かの社会環境に原因があれば解決できないでしょうか。しかしそこには大きな時代に流れの中で私たちの取り巻く環境の変化を見過ごすことはできません。
子供の「ひきこもり」の起きる原因
子供の「ひきこもり」の起きる原因は何でしょうか?
いま日本においては50万人以上の人が「引きこもり」状態ともいわれます。
実際はもっといるでしょう。
そこで「引きこもり」の原因をあれこれ考えてみようと思います。
もちろん「引きこもり」になるきっかけは大抵子供の場合、学校でいやな事やいじめや仲間外れ、テストの点、先生への不信などがきっかけになっていると思います。
中には無気力で引きこもりになるこもいるでしょう。
感覚的な話ですが、今50代の私が子供の頃は「引きこもり」はいることはいましたが今ほど多くはありませんでした。
そして子供に限らず20代、30代、40代の青年、中年の引きこもりも結構います。
やはり社会背景を考えるべきかなと思いますが、あまりこの問題について深い部分の議論は聞いたことがありません。
ある「引きこもり」の話。
私の知り合ご家庭のお子さんの「引きこもり」の例を紹介します。
両親と子供二人の普通にある家庭でした。
「引きこもり」になったのは長男で高校卒業して社会人一年目の春でした。
地元の高校を自宅通いで卒業し就職先も家から通える距離で親元から通勤。
就職して2ヶ月めのことでした。ちょっとしたミスで上司から激しい叱責を受け翌日から会社に行かず、結局その後30年近く「引きこもり」から戻ることはありませんでした。
ご両親もいろいろ試みたと思いますが、精神が不安定になると家のガラスを割ったりあばれることもあったようです。
そして7年前に母親が亡くなり2年前に父親がなくなり、結局家は処分され今は妹が面倒をみています。
特別変わった家庭環境でもなく、両親もどちらかと優しく誠実なひとでした。
本人も家族も大変な人生だったと思います。この家族みなが「なぜ、なぜこんなになってしまったんだ!」と繰り返し思ったと思います。
心の問題の難しさ。
引きこもりは、環境的要因(学校など)と心の要因、あるいはその複合要因があると思いますが心の要因の難しさを感じます。
「精神疾患」と呼ばれる状態まで心が陥ってしまった場合です。
うつ病、躁うつ病などがそうです。対処、対応もやはり違ってきます。
ですが病気か病気でないかの境目を見極めるのは難しいと思います。
もちろんはっきりわかる場合もありますが判断を付けにくいケースも多々あります。
引きこもりの本題に入る前に一つの事例を今日は紹介します。それは精神医学会では知らない人はいないほどのショッキングな実話なんです。
精神医学会の富士モデル
すこし、話がそれるかもしれませんが、今回のブログのテーマに関心のある人はひょっとしたら引きこもりの問題に対し何らかのアクションを取るかたも居られるかも知れないのであえて話します。
リーマンショックの影響もあってか年々自殺者が増えている最中、静岡県富士市があるキャンペーンを行いました。
働く、中年男性をターゲットに、病院に行くキャンペーンを行いました。
ティシュ、バスの看板、チラシなどで「お父さん、眠れなうなら悩んでいないで病院にいって」みたいな言葉をながしました。。
もう十年以上前のことです。
結果は自殺者が3倍ほど増えました。
同じように滋賀県のある自治体でも少し遅れて富士市と同じ試みをしましたがやはり自殺者は予想とは逆に増加。
このことは、精神薬の副作用の問題、治療の難しさの問題を提起しました。
実際、最近心療内科の開業医もかなり増えましたがうつ病と躁うつ病の見分けを十分できずにうつ病の薬を処方した問題もでてきました。
うつ病と躁うつ病では処方すべき薬が違うからです。
うつ病の薬の副作用の一つに「自殺」があります。
一方うつ病の処方薬で救われている病人も実際います。
ただ私はこの富士モデルの事実からも感じたのが、漢方薬ならいいのですが強いうつ病の薬(あえて薬剤名は書きません)は副作用も問題です。
先ほどの病気かそうでないかの判断も難しいのも事実で、なるべく自然治癒の方法が採れればいいと思います。
ましてや大切な我が子には自然な方法、時間がかかっても自分自身の持っている回復力(治癒力)でたちなおってもらいたいと親なら思うと思います。
最近ホメオスタシスという言葉も頻繁に使われます。
人間の持つ恒常性の維持、健康に戻ろうとする力を信じる対処の仕方です。
「富士モデル」というかなりショッキングな内容でしたが現代社会はかなりコンビニ化した思考が蔓延しています。
引きこもりの問題もそれぞれ程度も状況も違っているでしょうから場合によってそうなるに至った位の時間が必要になる場合もあると思います。
特効薬や「すぐに解決できる方法」など期待せずに時にはじっくり問題あたり対処することも必要かと思います。
子供は日々成長しています。今日の「子供」は明日はもういないと言っても過言ではないくらいです。
心の弱さの問題
引きこもりの原因を考えるのにまず認識しなければいけないのが、今の子供の「心の弱さ」です。
生まれた時から物質主義の考えにひたり、親も子供の欲しがるものを不自由をかけないように与えて育てます。
そしてなるべく大変な思いをさせたく無いと色々便宜をはかります。
家庭内では、なんの問題もなく生活できるのですが外へ出れば試練も当然あるし我慢も、いやな思いもします。
それに耐えるキャパシティーがあまりにも少なすぎます。
つまり「心の弱さ」という見方から引きこもりを考えると、当然起きても然るべきこととも思えます。
学校というよりは、親の教育の責任として子供が小さいときから認識する必要があると思います。
つまり、子どもの成長にあわせて相応の試練を与えてあげることです。
この話を読んで「具体的試練といっても難しいなあ、言うこときかないし」と思っている方もおられるかもしれませんが、そのやりかたはどうするかは別として、まずはこの認識を持つことから始めることは大事だと思います。
子供の精神年齢は時代とともに低下してます。
このことは、塾の先生を長年やっていると痛感します。
またある大学教授の研究でも「大人度」をある方法で測定したところ昭和時代より5歳以上精神年齢の低下が数値として出ています。
簡単にあてはめると今の中学三年生は昔の小学5年生ということです。
もっといえば子供の精神年齢のまま大人になる人も中にはいます。
この子供の精神年齢の未成熟が「引きこもり」の原因になっている可能性もあります。
また「引きこもり」の直接の原因を引き起こす周囲の環境を作る例えばクラスメート、部活の先輩、担任の教師の問題になって出てきます。
例えば、いたわりのない環境が必然として出来上がり、そこから逃避的に引きこもる子供が出てくる訳です。
子供たちが精神的に弱くなって来ていることと、精神年齢の低下が引きこもりに関係あるとしたらどうでしょうか。
しかし、引きこもりの人数が次第に増えて来ている事実があり、その原因が明快に一つに絞れる性質のものでもありません。
引きこもりの子を持つ親の当事者になった場合、すぐに解決策を探し求めてしまいます。
思ったような方策が見つからないとスグに絶望的になる傾向は、私たち大人も欲しければすぐ何でも買える「コンビニ社会」に浸かってしまっているかもしれません。
やさしい子供ほど生きにくい。
生まれつき優しい性格をもって生まれた子がいます。
生まれてから、親の愛情をたくさん受けて育った子(物質的甘やかしとは違ったいみで)は優しい心、いたわりの心を持ちます。
ですがそれとはすこし違って、それ以前に生まれつき優しい性格を持った子供がいます。
性格的に気弱で人にやさしく、とにかく性格のいいこです。この子たちにとって生きずらい社会なんです。
物質主義の時代たいていの親は子供にまっさきに損得を教えます。
意識していなくてもです。そして損得の価値観をふんだんにもって育ち、不自由がないと不満が生まれます。
不満は感謝の心をむしばみます。そして途方もなく「人間的に感性の乏しい人間」が出来上がります。
このような子がクラスに数人いただけで、先ほどあげた生まれつき優しい子に矛先が向けられたとたんもう無理な感じになります。
そこにさらに、このような絶体絶命的不運な状況下で時にクラス担任の先生が、その場しのぎの対応に終わってしまう場合も多く、もう本人にはどうにもならない状況になります。
この場合は親は体を張ってでも守ってやってください。
生まれつき優しい子とって「感性のない子」はモンスターに思えます。
少なくてもただ「学校に行かなくてはだめだ」的な対応は、問題を大きくします。
そしてこの見極めは親しかできません。
小さいころからの「心の教育」をしてきている親子関係であればこういう時に力を発揮するはずです。
我慢することを知らない子供。
我慢することを教わってこなかった子供の引きこもりについてです。
先ほど述べた生まれつき親から我慢することを教わってこなかった子供は、集団生活の行き詰まりが起きると、逃避的行動として引きこもります。
なぜかというと我慢する必要性が心からわかりません。
いやならやめる。いやなら逃げる的な発想が繰り返され「負け癖」的な積み重ね経験を一生していくことになります。
時に今の自分と理想とのギャップにいら立ち暴れたり親に暴力的になったりします。
ですが慌てないで欲しいと思います。
原因さえしっかり分かりさえすれば、その子が15歳であれば、後の15年かけて立ちなおさせるくらいの覚悟をしてください。
その覚悟さえあれば実際は、はるかに早く事態は改善します。
子供にとって、今日存在した「その子は」明日はいません。
日々成長し変わっていくのが自然なんです。
逆に覚悟もせずに親が短絡的にあきらめてしまうようであれば、やはり小さい時からの「心の教育」をしてこなかった証拠でもあります。
まず、覚悟です。1からやり直す覚悟です。たとえ何年かかっても人生に「手おくれ」なんて存在しません。
容易に引きこもる場所のある時代。
き引きこもりの問題は、引きこもりの本人、そして周囲に対しる側面、社会的時代背景など色々な側面でとらえる必要があります。
いずれにしろ大切なその子の人生の問題です。まずは原因をしっかりとらえてあげる必要があります。
今の時代ほとんどの子供が個々の部屋を与えられ言わば自分のプライベート空間があります。
自分でより快適に居心地がいいようにアレンジできますし、それにテレビ、インターネット、スマホと一人でずっとこもっていてもなんら退屈もしません。
他人を気遣うこともなく、一切のわずらわしさから、解放される最高の空間がそこにはあります。
このことは「引きこもり」の問題を助長しています。
一人こもってゲームでもしていれば自分が傷つくこともありません。
この安易な引きこもり状態を見極められないで許せばこれもれっきとした立派な本当の引きこもりになります。
この安易な引きこもりは、それほど精神的ダメージはないのでやがて、安易なバイト、フリータ、遊びの外出と自分の世界が壊されない範囲内で生活圏を作っていきます。
明らかに早急に何らかの手を差し伸べる必要があります。
その日暮らしからの脱却。
先に述べた引きこもりこそ現代社会が原因のひきこもりです。
何がいけなかったのか、何がたりないのか。
この様な状況下で引きこもっている子供を持つ親は、まずは,それを考える必要があります。
ペットの猫や犬はその日一日の為だけに生きています。
子供も成長過程のその時々で相応の生きる事の価値観を、親が与えて来なかったとすれば、ペットの動物と同じになります。
何かのきっかけで容易に引きこもりにってしまうのも必然です。
そのとき安易に怒鳴っても、たたいてもその子供は釈然としないはずです。
時には親に叱られる恐怖で引きこもりをやめる場合もあるでしょう。
ですが、それではまるで調教されているサルのようです。
じゃあどうすればいいの?
そうです。まずは一日5分でいいから明日、来年、10年後、大人になった将来のことについて時間を割くことを教えることから始めるのです。
そうすることが人間として自然であることを教えます。
今からでは遅いなんてことはありません。
いつから始めたってかまいません。
しばらく引きこもりの状態が続いても仕方がないでしょう。
明日を見て生きる事、親子で語り合ってください。
今までして来なかったんだったら一から始めましょう。
人を育てるって何か問題がでたとき「どうすればいいでしょうか?」なんて聞くのは余りにもコンビニ時代の社会的やまいそのものです。
まず、今の現状を的確に把握してそれに対する処方をじっくりねる。
覚悟を決める。
そんな状態ではじめて、それについて的確な助言をしてくれる人が必ず現れます。
人生は引き寄せの、めぐりあわせがあります。
覚悟に一念こそ、今の問題を解決する第一歩の処方です。
引きこもりへの新しい動き「新風」。
引きこもりは、現代社会が生みだした「負の現象」とも言えます。
学校の引きこもりに対する対応も、短期間で目まぐるしく対応の方向性が変わったりもしています。
例えば小中高生の「引きこもり」生徒に、いやなら無理に生かせることは無いと声高に主張する専門家や教育現場を担う人にもいます。
ですが、その子の親であれば「いやならいい」で済ませることはできないでしょう。
なぜなら、この世界中でもっともわが子を愛しわが子の将来を気にして見守っているのが親です。
私たちの塾もその地域においては、このような引きこもりの問題に積極的に関わっていきたいと思います。
また、新しい風も起こり始めています。
引きこもりの子供をかかえ、悩み苦しむなか、適当な相談するような頼れるひとが身近にいなければ一層深刻です。
だれしも、引きこもりに対してポジティブなアクションを願っています。
まとめ。
今回は「子供の「引きこもり」について!」というテーマでお送り致しました。
近年急速に子供、そして大人の引きこもりが増えました。現代のなにがこの急増する「引きこもり」
を起こすような社会に変えたのかという切り口で「引きこもり」問題を考えてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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